今回の尖閣問題に関して、多くの日本人は中国人がなぜここまで激しく反発するのか不思議に思っているようだ。

 一部の評論家は、「国有化」という言葉が意味するものが日本と中国で違うから誤解が生じている、と解釈をする。だが、領有権の争いが存在する島を国有化することは、言葉のニュアンスの違いだけでは片づけることはできない。

 筆者は、今回の両国の対立が激化する背景には、国民性の違いもあるのではないかと考えている。

 もしも中国と韓国の間で島の領有権の争いが存在し、韓国が実効支配している島に韓国大統領が上陸した場合、中国は同様に激しく反発するだろう。だが、竹島問題について日本は韓国に反発らしい反発を行っていない。

 これが中国ならば、すべての韓流ドラマの放送を禁止し、韓国へのキムチや白菜やニンニクの輸出を禁止するに違いない。揚げ句の果てに北朝鮮への援助を増額するかもしれない。

 しかし、竹島問題が騒がれても日本では韓流ドラマの放送はそれまで通りである。先日、新聞のテレビ番組欄で1日に放送される韓流ドラマをざっと数えてみたら15本もあった。竹島問題があっても日韓関係は冷えていない。

 尖閣問題以降、中国に住む日本人の友人から「柯さん、中国に滞在するのは怖い」という連絡をもらったことがある。ほぼ同時期に、中国にいる親族から「日本にいて大丈夫か? なにかあったらすぐに帰ってきなさい」と言われた。幸いにも、日本で生活する私と私の家族に日本人が危害を加えることは今のところないし、これからもないと信じている。

 むしろ、私の意見に賛同してくれる日本人も少なくない。ネット上では日本政府と日本の政治家を批判する書き込みが見られるが、ツイッターなどで私を罵る日本人は今のところ現れていない。反対に、中国版ツイッターの「微博」で、私が対日関係についてもっと冷静に対応すべしとつぶやいたら、「売国奴」と何回も罵られた。私は無一文で日本にやって来たし、中国の国有資産を処分する権限も一切持たない。一体何をもって私が国を売るというのだろうか。