9月21日、iPhone5が発売された。販売台数は、発売後3日間で500万台を超えたそうだ(「iPhone5、部品不足で供給が間に合わない状態」参照)。
ところで、最初にアップルがiPhoneを発売した時のことを覚えているだろうか。
MacやiPodを市場に投入していたアップルの携帯電話参入は大きな衝撃だった。今では、次々とバージョンアップされるiPhoneの発売を心待ちにしている人は多い。
デジタルデバイスは基本的に電子回路から成り立っているのだから、どの電気・電子メーカーも携帯事業に参入できる。アップルはそれを実行したのだが、身も蓋もない言い方をすれば、ただそれだけのことでもある。
スマートフォンの本質は電話機なのか?
さて、スマートフォンは携帯電話機であるが、電話機能への期待が高いのだろうか。もちろん、基本性能としての電話・通話機能は必須なのだろうが、今回のiPhone5でも、多くのユーザーの感想は、データ通信速度や各種アプリケーションの実行速度が改善されたということだろう。
デジタルデバイスは、初期の基本機能を超えたところで進化することがよくある。
皆さんが今このサイトを見ているのは、PCだろうか? PCとは Personal Conmputer(パーソナルコンピュータ)の略語であり、計算速度やプログラムの実行しやすさが初期の期待値であった。
それは、初期のPCの購入者がプログラマー中心だったことや、プログラミングができない人には使いにくいものだったからだろう。
その後、WindowsやMacが登場し、インターネットが広まるとともに、PCはプログラマー以外にも普及した。そして、PCへの期待値は計算速度ではなくなり、アプリケーションやPC自体の使いやすさなどが、購入者の関心事になった。
このように、デジタルは「ユーザーが何がやりたいのか」という本質的な問題や、「デジタルで何ができるのか」を明らかにする。では、スマートフォンでできること、ユーザーがやりたいことは何か。
他人とのコミュニケーションにおいて、「音声」だけでなく「テキスト」や「写真」なども使えれば、より便利になる。また、ユーザーは個別のコミュニケーションもしたいが、SNSなどを使って友達全体とのコミュニケーションもしたいと考える。それが可能だから、スマートフォンはこれほど急速に普及しているのだろう。