米アップルは今週初め、新型スマートフォンの「アイフォーン(iPhone)5」について、発売後3日間の販売台数が500万台を超えたと発表したが、これはアナリストの予想を下回る数値だった。アイフォーン5は予約受付の初日に前モデル「4S」の2倍の注文を受けており、発売後3日間の台数も当然、4Sの400万台を大きく上回ると見られていたが、結果は違った。
これはアイフォーン5の需要が停滞しているわけではなく、部品の調達が間に合わないためと言われている。とりわけアイフォーン5に採用されている薄型ディスプレイは最新の技術を使っており、これまでのディスプレイのようには生産できない。これがボトルネックとなって販売が抑制されているという。
供給業者は韓国LGとジャパンディスプレイ
電子機器・部品の市場に詳しい調査会社、IHSアイサプライによると、アイフォーン5のディスプレイは、液晶パネルにタッチパネル機能を内蔵するインセル型を採用している。
従来のタッチパネルディスプレイは、液晶パネルの上にタッチスクリーンを重ね合わせる外付け式だが、インセル型はタッチ層をディスプレイガラスの中に組み込む方式。
これにより筐体の薄型化が可能になったが、歩留まりが悪いため、需要を上回るスピードで製造できないという問題が起きている。
米ブルームバーグの記事によると、アイフォーン5のディスプレイの供給業者は、韓国LGディスプレイとジャパンディスプレイ(産業革新機構・ソニー・東芝・日立製作所の中小型液晶合弁会社)。だがいずれもアップルが望む生産量を達成するのは困難だという。
またアップルはシャープにもディスプレイの製造を依頼しているが、シャープは現在のところ歩留まりを高める努力をしている段階で、アイフォーン5の発売日までには間に合わなかった。
アップルにとってアイフォーンは利益の3分の2を稼ぎ出す旗艦製品。その新モデルの成功は同社の成長にとって極めて重要だが、部品不足で供給が需要に追いつかないという状況は手痛い打撃だとブルームバーグは伝えている。
ほぼすべての部品を刷新
なお、前述のIHSアイサプライは25日、アイフォーン5の実機を分解して調査した結果を公表した。それによると、アイフォーン5では多くの部品メーカーが前モデルと同じで、韓国サムスン電子、米クアルコム、村田製作所、独ダイアログ セミコンダクター、米テキサス・インスツルメンツ(TI)、伊仏合弁STマイクロエレクトロニクスなどが名を連ねている。