マット安川 今回は公明党の太田昭宏議長を迎え、昨年来ずっと携わってきた被災地支援事業や、現在の政局への見解などをいただきました。
進まぬ震災の復旧・復興。現場に見学、勉強に行くバカな国会議員
公明党全国代表者会議議長、公明党前代表。1993年衆議院議員初当選、衆議院予算委等の理事、教育改革国民会議オブザーバー、党憲法調査会座長、党総合選対本部長、党幹事長代行、党国会対策委員長等を歴任。著書に『真っ向勝負―行動する政治家の素顔』がある。(撮影:前田せいめい、以下同)
太田 東日本大震災から約1年半が経ちましたが、被災地を歩くと「とにかく遅いよ」という声を多く聞きます。それから「気持ちが伝わらないよ」と。「遅いよ、鈍いよ、心がないよ」と。
というのも、被災地を見に行くというバカな国会議員が多いんです。勉強に行ってきます、と。現場からすれば、勉強に来られたり、見に来られたりしたって迷惑なんです。
私は現場に行き、今、何が必要なのかをずっと聞き取ってきました。現場にはニオイがあり、空気があり、優先順位がある。その優先順位をつかみ、手を打たなければいけません。
例えば、昨年3月に相馬市に入りました。相馬市長に何がほしいですかと聞くと、梅干しがほしいと言う。お米はやっと配ることができたから、梅干しがほしいと。すぐに和歌山の関係者に連絡して、梅干しを送ってもらいました。
同じ昨年の5月、気仙沼に入りました。そしたら、東京で立派な復興プランなんか作ってもらいたくないと言われました。気仙沼はカツオの街だからカツオさえ揚がれば生き返る、そのためにはエサと氷と油の3つが必要だから助けてほしいと。
私はすぐに農水大臣、水産庁長官に話をして、国を挙げてやってもらうようにしました。そして6月28日にやっとカツオが揚がりました。
現場に行けば、何をやってほしいというものがあるんです。その時その時に何が必要かをつかみ、それに対して手を打つ。現場には空気があり、ニオイがある。