先日の決算発表説明会における豊田章男社長の挨拶の中で、今後の製品と販売をどう動かしてゆくか、その方向を示した内容にはいささかの違和感を覚えた。以下、その部分を再録する。

 「今後の成長戦略では、『攻める分野』を明確にしたうえで、リソーセスを最適配分することで持続的な成長を目指してまいります。常に人や組織の身の丈を確認し、将来の成長に向けた投資と収益構造改善による体質強化のバランスを見定めながら前進してまいります。

 攻める分野とは、大きく言えば、『次世代環境車』と 『新興国』の2つになると思います。

 まず、次世代環境車としては、ハイブリッド技術の一段の向上とモデルの拡充を図ってまいります。昨年は3代目となる新型プリウスやレクサス「HS250h」など新モデルをお求めやすい価格で投入してまいりましたが、今後も、プレミアムコンパクトセグメントのハイブリッド車「CT200h」の発売を予定するなど、積極的に新モデルの投入を図ってまいります。

 さらに、プラグインハイブリッド車につきましても、2012年には一般のお客様への販売開始を予定しており、次世代環境車をより一歩前進させるとともに、お客様にとって一段と身近なクルマにしていきたいと考えています。

 また、少し長期的な視点になりますが、プラグインハイブリッド車やEV(電気自動車)を活用したスマートグリッドなどの新たな環境技術への取り組みが非常に重要であると考えています。青森県六ヶ所村や米国コロラド州ボルダー、そして先月発表しました豊田市など、世界各地での実証実験プロジェクトへの参画により、こうした技術の実用化など、低炭素社会の実現を目指し、グループを挙げて取り組んでまいります。

 これらの環境技術への取り組みに加えて、例えば昨年の東京モーターショーに出展した小型FRスポーツ『FT-86コンセプト』など、『走りの味』や『クルマの楽しさ』にこだわった、お客様にわくわくしていただけるクルマも提供していきたいと考えています。

 次に、中国、インドなどの新興国の戦略につきましてご説明します。

 まず、成長の著しい中国ではさらなる商品ラインアップの拡充と生産体制の整備を図ってまいります。

 これまでも中国のお客様の需要にお応えするために生産能力を拡充してまいりましたが、今回さらに長春新工場を建設し、2012年前半に稼働を開始することを決定しました。また、プリウスに続きカムリハイブリッドの現地生産を開始するなど、中国のお客様の幅広いニーズにお応えするための生産体制を構築してまいります。

 中国同様、成長が見込まれるインド市場向けには、新型車のエティオスを投入する予定です(以下、略)」

あまりにも単純化された分かりやすい「方向性」

 自動車産業の全体像と将来像を知らない日本の投資家、コンサルタントやアナリスト、メディア・・・などに対しては、この程度の内容でもいいのかもしれない。むしろこのくらい単純化して、一見分かりやすいものにしておけば、好意的に受け取ってもらえる。それはまぁそうだろうな、と思う。

 しかし、欧州の自動車メーカー、主要部品メーカーの業績発表の際は、実績や今後の経営方針はもちろん、包括的な視野から導かれる製品の開発や投入のプランも、かなり突っ込んだ内容が語られることが多い。