NAB Show 2012で、米国テレビ制作会社幹部が参加したセッションがあった。
なかでも、ワーナー・ブラザース・テレビジョングループ(WBTV)のプレジデントであるブルース・ロゼンブラム氏が自社戦略を語るものが面白かったので紹介したい。(このセッションの詳細は、『明日のメディア デジタル』でリポートしているので、参考にしてほしい。こちらの「イズメディア・モール」から購入できる)
WBTVは、売上高290億ドル(日本円で2兆3000億円)のタイム・ワーナー社の映像ビジネス部門(ワーナー・ブラザース・エンタテイメント)に属し、テレビ番組の制作、流通を担っている。売り上げは44億ドル(3520億円)。
WBTVの制作部門は、ドラマ、バラエティ、リアリティショウの3ジャンルに分かれており、米国の5大ネットワークに20タイトルのテレビ番組を制作、提供している。
米国では、1970年代から90年代まで存在した規制のおかげで、制作者が著作権を持ち、ドラマを再販できる商慣習にある。
したがって、WBTVは、この20タイトルのドラマをネットワークで放送後、DVDや海外への販売、またインターネットの配信サイトに配信権を販売できる。もちろん過去の作品はアーカイブとして、利益を上げる資産となる。
急激なDVD市場の落ち込みで注目されるSVODモデルとは
今回のセッションでWBTVの戦略が語られたが、そのなかで興味深かった点は、(1)デジタルと(2)グローバルという新たな番組流通への積極展開である。特に、「SVODを新たな流通として確立したい」という言葉が耳に残った。
「SVOD」という言葉を生で聞いたのは、この NAB Show が初めてだったが、日本で言えば「月額定額制」を指す。「Subscription VOD(Video On Demand)」の略で、「月額980円で見放題」といったビジネスモデルを指す。
WBTVのインターネット配信などのデジタルビジネスは、2011年度前年比5%増加した。セッションでは、ネットフリックスとの配信契約1.15億ドルがその要因であると述べていた。
ネットフリックスは、月額8ドルの「SVOD」モデルで会員数2340万件のインターネット配信サイトである。こうしたインターネットの配信プラットフォームの成長は、WBTVにとって大きなビジネスチャンスなのである。