東京都保険医協会が作成した、「ジェネリック(後発医薬品)は医師に相談して」と題したポスターに対して議論がわき起こっています。
このポスターではジェネリックは「新薬と同じ成分効能か?」と問いかけます。そして「ジェネリックの効能にはばらつきがあります」「効能格差は最大40%」と続き、「ジェネリックの中で効くものを医師と相談しましょう」と締めくくっています。
これに対して、日経新聞は4月22日「医療界は後発品普及を促せ」と題した社説を掲載。「医療費削減のために(ジェネリックを)主体的に普及を促すべき医療界が、(中略)一部の医師の意識改革の遅れにより、(中略)誤解させる文言を含んだポスターを作成した」と、このポスターが“患者の正しい理解を助けない”と論じました。
日本ジェネリック医薬品学会も東京都保険医協会に対して内容の変更や回収を求める質問状をホームページに掲載しています。
特許が切れた医薬品をより安く提供するジェネリックの役割は十分に分かります。しかし、ジェネリックを「先発品と同じ薬で値段が安い」と説明することこそ、逆に患者の正しい理解を助けないばかりではなく、事の本質を見えなくしてしまうのではないかと私は思うのです。
なぜ医師団体は「ジェネリックの使用は慎重に」と呼びかけるのか
4月から施行された「一般名処方」加算20円を算定している医療機関においては、処方された薬が商品名ではなく成分名で記載されます。
例えば、今まで発行される処方箋に「ガスター」(胃酸を抑える胃薬の商品名)と記載されていたものが「ファモチジン」(ガスターの成分名称)となります。今までとは違う名称が処方箋に記載されていて戸惑われた方もいらっしゃるかもしれません。
医師が“商品名”でなく“成分名”で処方箋に薬を記載するようになると、実績重視で先発医薬品を選ぶのか、値段を考えてジェネリックを選ぶのか、のアドバイスは、薬の調剤を行う薬剤師に委ねられることになります。
ですから、「一般名処方」制度の本質は、これまで医師が独占してきた「処方権限」の一部が薬剤師に委譲されることに他なりません。