ダルビッシュ有投手の入団で注目を集めるテキサス・レンジャーズ。1989年から5年間、のちの大統領ジョージ・W・ブッシュ氏が共同所有していたことでも知られる球団の本拠地はテキサス州アーリントン。

 南北戦争での南軍の英雄ロバート・E・リー将軍のアーリントンハウスにちなんで名付けられた地である。

テキサス・レンジャーズとローン・スター・フラッグ

テキサスのローン・スター・フラッグ

 そして、日本からアメリカン航空の直行便もあるダラス・フォートワース空港から20キロほどのその地へ向かう車からよく目にするのが「ローン・スター・フラッグ」と呼ばれる州旗。

 ユニフォームにも見られるこの旗はテキサス共和国時代からのもので、郷土への思いの強さを感じさせるものだ。

 今回の共和党大統領候補選にも出馬していたリック・ペリー・テキサス州知事が、以前テキサスの米国からの分離独立の可能性を発言し物議をかもしたことがあった。

 そんな独立心旺盛な州民感情を探るために、まずは球団名の由来となった「テキサス・レンジャー」の出自を見てみることにしよう。

 「テキサスの父」と呼ばれ、その名を州都に残しているスティーブン・オースティン。それまでの宗主国スペインからテキサスの土地利用許可を得ている数少ない米国人の1人だったオースティンは、メキシコがスペインから独立した1821年、人口の少ない北部の開拓に意欲を燃やしていた。

 一方、メキシコ政府は、多くのメキシコ人を送り込もうとしたもののことはうまく運ばず、結局米国人開拓者の入植に同意、オースティンはテキサスでの土地利用権を再取得することに成功する。

 さらに、先住のコマンチェ族などの支配懐柔をも企図したオースティンが、開拓民保護を目的として、1823年、わずか10人の構成員で誕生させたのがレンジャーの始まり。当時はまだ州ではないが、北米最古の州管轄法執行組織である。

 元々、スペイン人の北米への侵略が止まっていたのは、コマンチェ族の力によるところも大きかったのだが、感染症によりその人口が激減したことと、連発ライフル銃やレボルバー銃が開拓者にもたらされたことで、力関係は大きく変わってしまった。