ソーシャルメディアが、様々な領域で強い影響力を与え始めた社会。それを「ソーシャル化する社会」と称し、これまでマーケティング領域の“ソーシャル化”の概観について述べてきた。

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ソーシャルメディアは消費者の購買行動に変化をもたらすのか〔AFPBB News

 次に、「購買行動」領域での“ソーシャル化”について検証を重ねていきたいと思う。

 もっとも、購買行動もマーケティングが内包するところではあるが、ここでは購買行動という側面だけを切り取り、フォーカスすることにしたい。

 2011年10月7日付の日本経済新聞で、「ネット通販各社、フェイスブック活用 ヤフーは商品評価と連動」という大きな記事が掲載された。その概要は次の通りだ。

■ ヤフーや楽天などのインターネット通販大手がフェイスブックなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の本格活用に乗り出す。ヤフーは自社の通販サイトに消費者が商品を評価する機能を新設し、楽天は仮想商店街にサイト上で友人と情報交換しながら買い物が楽しめるサービスを導入する。

■ さらに、ヤフーは自社サイトの「ヤフー!ショッピング」で扱う商品について、SNS経由で評価、コメントできる機能を設ける。そしてヤフーも楽天も、加盟店向けにフェイスブックページなどの制作代行サービスを開始。

■ 数年内にネット通販の取引の3~4割がSNS経由になる(業界関係者)との予測もある。

 さらに、2011年11月、大手シンクタンクの野村総研が、ソーシャルメディアの普及によって、1兆6700億円の消費が新たに創出されるという見通しを発表した。そのポイントを列挙すると、

■ ソーシャルメディア(フェイスブック、ミクシィやツイッター等)の利用者は、5年以内に4000万人超、潜在的には6000万人が見込まれる。

■ ソーシャルメディアがもたらした消費スタイルとして、

(1) 友人の推奨等をきっかけとした「玉突き消費」
(2) 目的や相手を定めない「ゆる消費」
(3) コミュニケーションでのウケを狙った「ネタ消費」
(4) 友人の好みに合わせた「プレゼント消費」

の4カテゴリーに分類される。

■ これら4カテゴリーを合わせたソーシャルメディア消費が現在1兆5200億円あると試算し、今後ソーシャルメディアの利用者が6000万人に拡大することによって、3兆1900億円に拡大すると推計している。