先月のブルームバーグ発表によれば、最も有望な「エマージングマーケット」として、中国(第1位)、タイ(第2位)、マレーシア(第5位)、ロシア(第8位)、インドネシア(第9位)、インド(第15位)が20位内にランクインした。これらは、日本企業の有望投資先としても上位に挙がる国々だ。

日本企業に人気のベトナムは「フロンティアマーケット」

ベトナムの首都ハノイにあるホーチミン廟(筆者撮影、以下同)

 一方、日本企業に人気の高いベトナムは、「エマージングマーケット」のランキングにはなく、最も有望な「フロンティアマーケット」ランキングの第1位であった。

 世界から見ればベトナムはまだまだ「未開の地」との評価なのか。同ランキングの第2位以下を見ると、UAE(アラブ首長国連邦)、ブルガリア、ルーマニア、クウェート、カザフスタン、と続く。

 最近の日本企業のベトナム投資熱を反映して、JBIC(国際協力銀行)の日本企業向け海外直接投資アンケート調査2011年度の結果(速報)で、ベトナムは第4位と、引き続き上位にランクインされた。

 このように、日本人ビジネスマンにとってベトナムは身近な国となっている。

 日本の対ベトナム直接投資新規認可を見ると、リーマン・ショック後の経済低迷等により2009年にいったん急減したが、2010年以降は巻き返している。

 2009年77件・1億3800万ドル → 2010年114件・20億4000万ドル → 2011年208件・18億ドル(出所:JETROハノイ事務所、Vneconomy.net 2012.2.10)と、件数は毎年大幅に増加しており、2011年には過去最大となった。

 しかし、同時に日本企業にとってのベトナム投資の課題として「インフラの未整備」(JBIC調査、回答比30.8%、第1位)が指摘されている。

 世界銀行・ADB(アジア開発銀行)の調査による「アジア諸国の1人当たり発電量」(ベトナム598kw/h/人)や「道路舗装率」(ベトナム25.1%)も最低水準だ。やはりベトナムは「フロンティア」なのか。

「フロンティア」の理由は、未整備なインフラと脆弱な企業セクター

 最近、ベトナムのマクロ経済見通しを予測するにあたり、未発達な輸出産業を背景とした構造的な貿易赤字が問題視されている。インフラ未整備の問題以外で、ベトナムが「フロンティア」とされる理由には、やはり企業セクターの脆弱さがあろう。

 いま、ベトナムの中小企業セクターは、一部、瀕死状態にあるようだ。「中小企業、遂に倒産40%」― これは2011年12月1日付サイゴンエコノミックスタイムズの記事だ。