「自衛官になった息子を誇りに思います。母はいつもあなたを応援しています。どうか無事に任務に励んで下さい」

 自衛隊について考える時、その裏に「母あり、妻あり」であることを忘れてはならないだろう(最近は、女性自衛官を夫が支えるケースや、夫婦ともに自衛官という場合も少なくないが)。

「手当を付ければいい」は大きな勘違い

 そんな話の後に野暮なことを言いたくはないが、「国家公務員給与削減特例法」が成立した。

 人事院勧告に基づく平均0.23%の引き下げを4月にさかのぼって実施し、2012年度から2年間は人勧分を含めて平均7.8%削減するという。

 これにより捻出された約5800億円は震災復興に充てられる、とされるが、政治家や世の中の多くの人が、この中に自衛官が入っていることをご存じないのではないだろうか。

 自・公の働きかけにより、自衛官については猶予期間を民主党案の2カ月から6カ月に延ばすことにはなったものの、削減されることに違いはない。

 東北などには、被災して家や車など財産を失った自衛官も多く、彼らも例外なくこの削減対象である。地方公務員については自治体の自主的判断に委ねるとして、対象になっていない。そのため、言いたくはないが、警察や消防などの方たちは給与減にはならない。同じように、自らの家族も後回しにして被災地に赴き、極寒の中でドロドロになって活動したのに、である。

 こういう話をすると、よく「手当を付ければいい」などとと言う政治家などがいるが、これで給与削減をリカバーできると思うのなら、大きな勘違いだと言っておきたい。