野田改造内閣発足から約1カ月。一川(保夫)前防衛相の後任に就いた田中(直紀)防衛大臣が早くも迷走ぶりを見せている。
今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)では、中山氏が渦中の普天間基地移設問題、宜野湾市長選をめぐる沖縄防衛局長の「講話」や朝鮮学校補助金に関する大阪維新の会の失言問題など、最新の政治トピックについて解説した。
沖縄を日本の軍事的要衝として認識すべし
中山 米軍再編問題で、日米両政府が在沖縄米海兵隊のグアム移転を、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設と切り離して先行実施することに大筋合意しました。
この件について民主党の前原(誠司)政調会長は5日、「普天間飛行場を名護市辺野古に移設する日米合意は生きている。普天間固定化の回避に努力したい」と述べたとのことです。
在沖縄米軍の撤退を望む多くの沖縄県民に対し、かつて鳩山(由紀夫)元総理が「最低でも県外」と明言しましたが、同じ民主党政権の中で結局、自民党政権時代の案を踏襲するかたちになっている。
私は正直言って、陸海空自衛隊と海上保安庁だけで日本の安全保障を守ることはできないと思います。中国の軍事力の台頭、韓国と北朝鮮をめぐる朝鮮半島の緊張、そして台湾海峡を挟んだ台湾と中国の両岸関係など、アジアには多くの火種が存在しますが、これらと地政学的に最も近い島が沖縄です。
沖縄を日本の軍事的要衝として見るのは、政治家としての常識でしょう。なぜなら、米軍基地と日本の自衛隊の防衛力が相まって、初めて本当の意味での軍事的パフォーマンスが発揮できるのですから。
したがって、在沖縄米軍を全て移動させることは、日本の防衛上不利になる。スーパーウルトラ左翼からスーパーウルトラ右翼まで揃った民主党ですが、中でも保守色の強い前原氏には、鳩山氏らと対峙して「日本の保守」のための議論をしっかりしてほしいと思います。
「コーヒーブレイク」の田中防衛相は孤立していた?
沖縄に関連したもうひとつの話題が、宜野湾市長選をめぐって職員に投票を呼びかけた「講話」の一件です。田中防衛相は、「講話」を行った真部(朗)沖縄防衛局長の更迭を見送り、当面続投させることを明らかにしました。