マット安川 今回のゲストは評論家・西村幸祐さん。くすぶり続ける日韓・日中間の外交問題をはじめ、民主党が掲げる各政策の課題などについてうかがいました。

反日ムーブメントの背後にうごめく中国共産党の対日戦略

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:西村幸祐/前田せいめい撮影西村 幸祐(にしむら・こうゆう)氏
ジャーナリスト、作家。音楽雑誌編集などを経て、主にスポーツをテーマに作家、ジャーナリストとしての活動を開始。2002年の日韓ワールドカップ取材以降は拉致問題や歴史問題などにも分野を広げ、執筆活動を行っている。2011年4月『JAPANISM』を創刊、編集長を務める。(撮影:前田せいめい、以下同)

西村 現在の東アジア情勢を考える上で、まず思い出してもらいたいのが2004年に北京で行われたサッカー・アジアカップの決勝戦です。日本が優勝した時の反日のムーブメントはすごいものでした。

 あの後、反日の動きは収まっていたように見えます。実際、数年間は収まっていたんですけれども、去年からは違います。つまり本質的な問題は何一つ変わっていないということです。

 今、中国では、チャン・イーモウ(張芸謀)監督の南京大虐殺を扱った映画(『ザ・フラワーズ・オブ・ウォー(金陵十三釵)』)が興行成績ナンバーワンです。去年の暮れからですが、その映画が流行りだしてから、ネット上では「小日本人なんかみんな殺せ」といった声が飛び交っています。

 最近の反日ムーブメントの特長は、官制ではないものがネットなどでどんどん出てきていることですが、ただチャン・イーモウにそういう映画を作らせたというのは、中国共産党の戦略があります。

 アジアカップの頃も、実はそういう背後の戦略がありました。あの時は国連の常任理事国に日本が立候補するという問題がクローズアップされていた。その時にアメリカにある中国の反日組織、世界抗日戦争史実維護連合会という団体が裏でバックアップし、世界的に署名を集めて日本の常任理事国入りに反対した。

 去年の暮れからの動きを見ていると、チャン・イーモウの映画や、一昨年の尖閣衝突事件、台湾の総統選挙なども含めて、そういった共産党の戦略という裏も見えてきます。

マトリックス(仮想現実空間)上に築かれた中韓の反日感情

 もう1つ加えると、2007年にアメリカの下院で、日本に対しての非難決議案が上程され決議されました。121号決議と言いますが、日本の従軍慰安婦はけしからん、世界史的に例を見ないような犯罪を日本は行ったということが書かれています。