エコノミスト・カンファレンス「ジャパン・サミット2011」リポート、第4回の今日は、「分権型社会の未来:日本の希望は東京の外に?」をテーマに行われた議論をお届けする。
パネリストは、兵庫県知事で関西広域連合連合長の井戸敏三氏、大分県知事で九州地方知事会会長の広瀬勝貞氏、政策研究大学院大学教授の井川博氏。司会はエコノミスト誌東京支局長のヘンリー・トリックス氏。宮城県知事の村井嘉浩氏はビデオ出演した。
地方に権限を! 国の仕事は外交・防衛・皇室に限定せよ
村井 震災以降、陳情や会議出席のために東京に足を運んだ回数は数十回。その間、宮城県内で被災地を回れればどれほど良かったか――という思いがあります。地方分権の必要性を強く感じました。
国の仕事は外交、防衛、皇室などに限定し、社会保障やインフラ整備、災害対応は地方に権限を委譲しても大丈夫ではないかと思います。
道州制を導入するにしても、東京と北海道や九州では財政力の格差が大きく調整が必要になります。
ただ、現行のような国がお金を集めて再配分する垂直方向の調整ではなく、道州単位でお金を拠出し、話し合いで決定する水平方向の調整という選択肢もあります。私は水平方向の仕組みを作り、国からの支援を受けないでやっていくことは十分に可能だと思います。
東日本大震災では関西広域連合からの支援が非常にうまく機能しました。 東北というエリアの中だけで支援し合うのではなく、別のエリアの助けが非常に有効に働いた。中央政府の力が限りなくゼロに近づいても、エリアごとの相互支援で十分に対応できると思います。
大震災後、政府も懸命にやってくれましたが、残念ながら後手後手の対応も目立ちました。地方に自主裁量の余地を与えることがいかに必要であることを改めて認識しました。
司会 村井知事のビデオでの発言をたたき台に、議論を深めていきましょう。