今週は北朝鮮の金正日総書記が死去したという衝撃的なニュースで始まった。JBpressでも急遽、翌火曜日に『金正日の死、大混乱必至の朝鮮半島情勢に備えよ』を掲載、その後も継続して北朝鮮関連記事を公開した。
自衛隊元陸将の福山隆氏による『金正日の死、大混乱必至の朝鮮半島情勢に備えよ』 は、地政学的見地から見た朝鮮半島の重要性を背景に、今後、北朝鮮が内部崩壊した場合の米国、中国、韓国それぞれの対応を予測している。
北朝鮮が内部崩壊、核兵器が流出する危険性
福山氏は、北朝鮮に対する中国の影響力の拡大を指摘し、中国が後継者レースから外れたといわれる金正男氏を担ぐ可能性を述べている。正男氏が中国での長期間滞在中に、中国が北朝鮮に受け入れさせたい改革開放を現場で学んだ経験があるからだ。
福山氏は北朝鮮が内部崩壊した場合、現在の米中のパワーバランスから、事態収拾の主導権は中国が握ると見ている。しかし、中国が北朝鮮に介入した場合は米国もやむを得ず北進し、「米中対決~第2次朝鮮戦争に発展するリスクもゼロとは言えない」としている。
第2次朝鮮戦争のリスクについては、JBpressでもお馴染みのコラムニスト、加藤嘉一氏も、ダイヤモンド・オンラインのインタビュー『最悪の事態は「第二次朝鮮戦争」 25日の野田首相訪中に世界の注目が集まる』 で触れている。
加藤氏は、北朝鮮国内が不安定化して難民や核兵器の流出が起こった場合、米・韓は何らかの軍事行動を取り、それに中国が対抗せざるを得ない立場にあることを説明。「中国が北朝鮮を支持すれば、それはすぐに第二次朝鮮戦争に発展するだろう」と述べている。
金正男氏が後継者として浮上するのではないかとする前述の福山隆氏と異なり、中国は北朝鮮を改革開放に誘導するため金正恩氏を取り込もうとするというのが加藤氏の見方だ。正恩氏は若く、スイスで教育を受けており、成長・開放政策を受け入れる素地がある。
中国ウォッチャーで元外交官の宮家邦彦氏も、『中国にとり金正日の死は千載一遇のチャンスか』で、中国は若い正恩氏が中国の望む改革開放を受け入れ、経済を立て直して北朝鮮の自壊を防ぐこと、そして中国の経済圏に組み入れることで朝鮮半島の現状維持(=統一阻止)を図りたいのではいかと分析している。