世界最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)米フェイスブック(Facebook)が先頃始めたサービスが波紋を広げている。
チャールズ・シューマー上院議員と3人の米上院議員は4月27日、フェイスブックがユーザーの同意を得ないまま、個人情報を提携企業と共有し、ウェブサイトで公開しているとして、この商慣習を直ちにやめるよう要請した。
問題となっているのはフェイスブックが開発者会議で発表した、「オープングラフ」と呼ぶ情報共有の構想。この構想の下、同社は「インスタントパーソナライゼーション」というサービスを開始した。
マクロソフトのサービスなどに個人情報を提供
これは、名前、顔写真、性別、友人リストといったユーザーのプロフィール情報を同社の提携するウェブサイトに渡し、それらのサイトの利用環境をユーザー好みに合わせて自動的にカスタマイズするというもの。
現在提携しているサイトは、米マイクロソフトのオフィス文書作成/共有サービス「Docs」、地域店舗情報の共有サイト「イェルプ(Yelp)」、インターネットラジオの「パンドラ(Pandora)」の3つ。この数は今後増えていくもようだ。
同社の説明によると、フェイスブックにアクセスした状態でこれらのサイトに行くと、ユーザーが何ら設定をしなくても、自分の嗜好(しこう)に合った環境ができる。例えば、好きな音楽が自動で流れたり、友人が同じ曲を好きなことが分かったりする。友人がほかにどんな曲を好きなのかも見ることができるという。
米ニューヨーク・タイムズの記事は、このサービスの問題点は、フェイスブックがこれらの設定を勝手に「オン」してサービスを開始したことだと指摘している。拒否したい場合は、設定ページに行き、複雑な解除設定を行わなければならない。
世界4億人以上のユーザーに対して、一括してこのような設定を適用してしまうやり方は、問題があると報じている。
自動的にサービスを利用できる状態にしておいて、やめる時にその旨を受け付けるこうした方式をオプトアウトというが、前述の上院議員らは、ユーザーの意志によって申し込みをするオプトイン方式に切り替えるようフェイスブックに要請している。