鳩山由紀夫首相とバラク・オバマ大統領の10分間テーブル・トークがどんな実態だったか、先週中頃(4月14日前後)までにはワシントンの早耳筋を通じて永田町界隈に知れ渡った。
漏れ伝わるところ、それはオバマ氏が、鳩山氏個人に対する不信と怒りを爆発させたものだった。鳩山という人格それ自体に深く内在する不誠実と不統一に、オバマ氏は人間として我慢のならない思いを募らせていたやに窺われる。
鳩山氏への怒りはオバマ大統領の真摯さを示す証左
筆者はそれが本当なら(長年信憑性において確かな複数ソースが同様に言うので本当だと思う)、むしろ米国大統領の真摯さを示す証左だと感じる。
オバマ氏には、鳩山氏をすっかり遠のけ、視線を合わせすらしないことが可能だった。そうする代わりに少なくとも真っ直ぐ相対し、人間対人間の平等な立場で怒りをぶちまけたわけであるから。
大統領がこうだということは、国務・国防両省とホワイトハウスで日本を担当するアライアンス・マネジャーたち(同盟を保守発展させる役目の人々)が鳩山氏とその政権をどう見ているか、容易に推して知るべしだ。
日米同盟を支える人的基盤は大きく蝕まれてしまった。WEDGE Infinityというサイトに、ワシントン・ウォッチャーとして定評のあるクリス・ネルソン氏(Christopher Nelson)がこのところコラムを載せているけれど、近々このあたりの内実を書いてくれないか密かに期待している。
佐藤栄作に不信感募らせていたニクソンとキッシンジャー
中国の台頭とともに日本が素通りされるどころか、オバマ政権は、アジア政策を対日関係強化の意思を明白にすることによって始めたはずだった。
麻生太郎首相(当時)を最初の外国首脳としてホワイトハウスに招き、ヒラリー・クリントン国務長官にもまずは東京へ行かせて同盟にテコ入れしたのがオバマ政権である。今日の状況は、その結末としていかにも皮肉。しかも顛末は、いつにかかって日本側が自ら招いたものだ。
リチャード・ニクソンとヘンリー・キッシンジャーは、佐藤栄作に執拗な不信を抱いたことが知られている。大統領再選を狙うニクソンにとって繊維産業を味方につけることは死活的に重要だったにもかかわらず、佐藤は期待を裏切り、日本の対米繊維輸出をしかるべく抑制しようとしなかった。