米アップルは4月8日、カリフォルニア州クパチーノの本社でイベントを開き、モバイル端末の基本ソフト「アイフォーンOS」の新版を開発者や報道陣に披露した。
大幅なアップデートを行い、100以上の新機能を追加すると発表。開発者には1500に及ぶAPI(OSの機能を利用するためのアクセス手段)を提供すると説明した。
アイフォーンOSは、スマートフォン「アイフォーン(iPhone)」のほか、携帯メディアプレーヤー「アイポッドタッチ(iPod touch)」、米国で販売が始まったタブレット型端末「アイパッド(iPad)」のOS。
アップルはアイフォーンとアイポッドタッチ向けのソフトウエアアップデートを今夏に、アイパッド向けは今秋に提供する予定。開発者には同日、新OSのベータ版とアプリケーション開発ツールの配布を始めた。
新版では、複数のアプリケーションを同時に立ち上げてそれらを切り替えて使えるようにするマルチタスク機能や、現在アイパッドに限定して提供している電子書籍リーダーアプリケーション「アイブックス(iBooks)」などを追加する。
「アップルはグーグルに戦争を仕かけた」
中でもメディアが注目しているのは、「アイアド(iAd)」と呼ぶ広告プラットフォーム。これはアプリケーションの中で広告を表示する仕組みだ。
このアイアドの発表を受けて、英フィナンシャル・タイムズは、「アップル、モバイル広告市場でグーグルと対決」というタイトルの記事を掲載した。本文はもっと過激で、「グーグルの中核事業に挑戦する動き。アップルはグーグルに戦争を仕かけた」とある。
実はこうした表現になったのには理由がある。プレゼンテーション会場の壇上でスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)が「検索はモバイルには不向き」と言ったからだ。モバイル向けの検索広告はグーグルが事業拡大を狙っている分野である。
ジョブズ氏は次のように説明した。
「検索が最適なのはパソコンだ。ユーザーはモバイル端末で検索などしない。モバイルではユーザーは、ウェブブラウザーではなく、アプリケーションの中で時間を過ごしている。例えばレストラン情報を知りたい時は汎用のブラウザーで検索しない。地域情報の専用アプリケーションを使って情報を入手している」
そこでアップルが考えたのが、検索広告ではなくアプリケーション内で広告を出すという仕組みだ。ジョブズ氏がデモしたアプリケーションでは、画面下部に映画の広告が現れ、それをタップすると広告が画面全体に広がる。
そこでは、映画の予告編、映画館の地図、映画キャラクターの壁紙といったメニューを用意している。ここで映画のゲームをダウンロード販売することも可能だと、ジョブズ氏は説明した。
またこの広告は、画面左上のボタンをタップするといつでも元のアプリケーションに戻れる。アップルはこれについて、発表資料の中で次のように説明している。