12月12~13日に予定されていた野田佳彦首相の初訪中が急遽延期となった。「ほぼ固まっていた総理大臣の外国訪問の日程が延期されるのは異例のこと」だと天下の某公共テレビ放送が報じた。一部には日中関係が再び悪化するのでは、といった観測すら囁かれている。
日中両政府は野田訪中の年内実現を目指しているが、容易ではなさそうだ。
野田首相の12月の政治日程はかなりタイトだから、仮に実現しても中国滞在が大幅に短縮される可能性は高い。さて、我々は今回の「ドタバタ劇」をいかに解釈すべきだろうか。今回のテーマはこれである。(文中敬称略)
訪中は成功するのか
最初にお断りしておく。一部に今回の初訪中の「失敗」を懸念する向きもあるようだが、心配は無用だ。
野田首相の訪中が実現すれば、それは「必ず成功する」からである。もちろん、中国側にとっての「成功」という意味だが・・・。
中国が受け入れる外国要人の訪中に「失敗」などあり得ない、というのが4年近くの北京勤務で得た筆者の皮膚感覚だ。
逆に言えば、中国は失敗する可能性のある訪問などそもそも行わないし、受け入れもしない。
だから、成功が覚束ないとなれば、中国側は直前でも訪問や会談を平気でキャンセルする。典型例が2005年5月の呉儀副首相訪日だった。
当時日本で「ゴギる(ドタキャンする)」という言葉が流行ったことを思い出す。
その顛末はこうだ。同副首相は愛知万博視察のため来日し、小泉純一郎首相と会談する予定だった。ところが小泉首相が直前に国会で行った靖国神社参拝に関する発言を問題視した中国側は、「緊急の公務」を理由に会談を急遽キャンセルした。