4月2日に発表された米3月の雇用統計については、非農業部門雇用者数の急増という強い部分が目立ち、市場でも材料になった。だが、今回の雇用統計では「影」とも呼ぶべき弱い部分が広がっていたことにも留意したい。米3月のISM製造業景況指数を見ると、生産面では在庫補填に一巡感が出ている。

 今後のカギを握る個人消費など最終需要の先行きを楽観視するのは、まだ難しい状況。さらに、週平均労働時間の水準が非常に低いなど、既存の雇用の稼働水準を引き上げる余地も十分に残されている。民間部門の雇用者数がこのまま持続的に増加を続けていくとは、筆者には考え難い。

 今回の雇用統計で「光」にあたる部分は、非農業部門雇用者数(前月差、以下同じ)の+16万2000人という数字である。2カ月ぶりの増加で、プラス幅は2007年3月以来の大きさ。筆者の予想に反し、1月・2月分は上方修正となった(計+6万2000人)。

 業種別の内訳では、政府の雇用が+3万9000人で、うち連邦政府による10年に1度の国勢調査向けの一時雇用が+4万8000人。しかし、連邦政府は3月の雇用者数急増の主役ではなく、脇役にとどまった。政府を除く、民間部門の雇用者数は+12万3000人という、まったく予想外の大きな数字になった。