14日のロンドン市場は、ユーロ売りが優勢になり、週明けオセアニア市場での上昇を消した。週末にイタリア新首相として欧州委員などを歴任したモンティ氏が指名され、週明けの東京早朝にはユーロドルが一時1.38台乗せとなった。しかし、ロンドン市場では1.37台後半から1.36台前半へと反落している。ユーロ円も106円台から105円近辺まで水準を下げた。欧州株は序盤上げて始まったものの、次第に上げ幅を消すと下げに転じている。この日は目立った経済指標発表がなく、市場の関心はイタリア5年債入札に集まった。結果は30億ユーロの目標額を達成する無難なものだったが、市場のユーロ買い反応は一時的なものに留まっている。平均利回りは6.29%とユーロ導入来の最高水準に達している。応札倍率は前回を上回る1.47倍だったが、イタリア債は流通市場で売りが優勢になっている。ECBが市場でイタリア債を購入した、との報道もあったが流れを変えるには至っていない。財政改革を推進する上で、市場からの調達コスト上昇はイタリア政府にとって痛手となる。モンティ新首相へのご祝儀相場は短命に終わったようだ。なお、新内閣発足は15日以降となる見込み。
◆ドル円、一時76.80レベル 介入後の最安値つける
ロンドン市場、ドル円は77円手前でじり安の動きから始まった。市場では77.00近辺で日銀の覆面介入との思惑があり、当初は77円手前で一進一退となる相場が続いた。しかし、ひとたび77.00レベルの買い注文が売りに吸収されると、76.80レベルまで一気に下落し、10月31日の介入後の最安値をつけた。野田首相のTPP参加表明、APEC首脳会議での介入への根回しなどの思惑が広がっているが、現時点では介入再開の動きはみられていない。ユーロドルが下げ幅を広げたことで77円近辺へとやや戻しているが、東京市場での77円台前半のもみ合い水準は回復していない。欧州株が下げに転じるなど、リスク許容度の低下が円高圧力ともなっている。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)