書店に行くと、よく「FXで失敗しないコツ」などといった本を目にする。この場合の「FX」とは外国為替取引を指している。

 だが、FXは外国為替取引だけではない。航空自衛隊のFX(次期主力戦闘機)こそ「失敗しない」選定が、国家にとって喫緊かつ重大な案件になっている。期限は2011年内。いよいよ決断を迫られることになった。

 「どうなるんですか、FXは?」と、まるで天気の話をするかのように、よく問いかけられるが、そうやって質問する人が必ずしも真剣に考えているわけではない。

 先日は、ある著名なジャーナリストが次のような「暴言」を吐いた「戦闘機の数を半分に減らして、その分のお金を子育て支援に充てれば、女性は子供を産む」というのだ。戦闘機を減らしても出生率が増えるわけではないことは言うまでもない。

 ことほど左様に、日本では戦闘機にまつわる誤解、あるいは稚拙な話が飛び交っている。

 その間に、中国やロシアなどは着々と第5世代のステルス戦闘機配備に向けた準備を進めているのである。

ポッカリと穴が開いた戦闘機の国内生産基盤

 FX選定について私なりの視点で申し上げると、問題の要諦は、これから先、日本が自分たちで日本の空を守り続けることができるかどうかにあり、選定機種そのものではない。そのことを改めて肝に銘じなければならないだろう。

 そういう意味で次期戦闘機選定は、今回のみならず、次回のことまで考慮する必要がある。

 今回、候補となっているのは「F35」「FA18」「ユーロファイター」の3機種である。運動性能や調達・運用のコスト、国内企業の参加形態(要は、ある程度ライセンス国産できるかどうか)などを点数化して評価することになる。

 この中で、国内企業の参画形態は運用の生殺与奪を握っているとも言える。