タイの洪水被害が世界のパソコン市場に及ぼす影響の度合いが次第に明らかになってきた。米国の市場調査会社IDCが10日までにリポートをまとめ、それを米欧のメディアが一斉に報じた。
米ブルームバーグの取材によると、この10~12月期における世界パソコン出荷台数は1年前に比べ2.2~3.4%減少する見込み。
IDCは事前予想でこの時期の出荷台数伸び率を同5.1%としていたが、これが減少に転じることになる。
また来年1~3月期の出荷台数についても、従来予想の前年比8.2%増から、同1.8~13.4%減へと下方修正した。
「洪水治まるまで完全には把握できない」
その最大の理由は、パソコンに内蔵されるハードディスク装置(HDD)の生産が止まっているからだ。タイでは、米大手ウエスタン・デジタルなどの工場があり、浸水被害に遭っている。
IDCによると、今年前半の実績では、タイでは世界のハードディスク装置の40~45%を生産していた。しかし11月初旬の時点でこの生産量の半分を担う施設が洪水被害の直接的な影響を受けている。
部品工場、組み立て工場が冠水したことに加え、交通網の寸断、停電などで操業停止を余儀なくされている。
電子機器も含め様々な工業製品は、サプライチェーン(部品の調達・供給網)が断たれると生産がストップする。東日本大震災の時と同様、1つの部品が調達できないため、工場全体が止まるという事態になっているというのだ。