「グーグルのビジネスは規模の力に支えられている。圧倒的に多いユーザーは日々グーグルで検索し、グーグルの検索エンジンはそれを学習して成長し続けている」
「他社の検索エンジンにはグーグルのような規模で検索語が集まらない。それがグーグルに追随できない理由だ。マイクロソフトも検索エンジン『Bing(ビング)』で技術を駆使してそれを克服しようとしているが、より精度を高めるには規模の力が必要だ」
「だから米ヤフーと提携し規模の拡大に努めているのだが、グーグルがコンテンツ提供者や広告主を囲い込んでおり、それを阻んでいる」
マイクロソフトとヤフーによる検索事業の提携は、2月18日に欧州委員会によって承認された。欧州委員会は、欧州におけるグーグルの検索シェアが90%以上と判断、グーグル1社による独占を懸念して承認を決定した。ヘイナー氏は声明の中で、グーグルの欧州におけるシェアは95%以上と主張し、欧州委員会がこの問題を非常に重く受け止めるだろうとも述べている。
「囲い込みと締め出しは自由競争を阻害」
同氏は最後にこうも述べている。「市場を先導し、成功している企業が必ず制裁を受けなければならないとは言っていない。ある特定の商慣行で特定の競合企業1社を排除したからといって制裁を受けなければならないとも言っていない。市場競争ではそういうことが起こるものだ」
「我々の懸念はただ1点だ。グーグルの行為は、パートナー企業やコンテンツを囲い込み、複数の競合企業を一斉に締め出すというもの。自由な競争がより広範囲で阻害されることになる」
このヘイナー氏の声明は、規制当局のこれまでの対応の経緯や、影響を受けている団体などについても触れているが、主張の骨子は概ね以下の3つに集約されると筆者は考える。
1つは、競合企業の主張だからといって規制当局はそれを反故にはせず、むしろグーグルによる市場独占を把握するための重要な意見になるという主張。
もう1つは、欧州における検索市場でマイクロソフトが勢力を拡大できないのは利用者数が少ないためであり、それが検索の技術/サービス向上の足かせになっているという主張。
最後は、現在のグーグルの市場独占と、マイクロソフトがかつて欧州委員会や米司法省などに問われたものとは異なるものだという示唆だ。
とりわけ欧州の検索市場ではマイクロソフトが極めて小さな存在であり、同社が模索を続けていることがうかがえる。当局による措置を切に願っているという同社の姿が浮き彫りになった声明だ。
