サッカーワールドカップ・ブラジル大会のアジア3次予選、日本対朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)戦が、15日、平壌で行われる。国交のない国との試合だけに、当然のごとく、報道陣、サポーターとも、日本人の受け入れは極めて厳しく制限されている。
北朝鮮入りを公式に認めた政府
もちろん、中国でビザを取れば、一般人でも入国することは不可能ではなく、現実にそういった手法で今でも観光ツアーは行われている。
日本政府の方も今回は特例ということで、ごく少数に限るとはいえ、選手団、報道陣以外にも、日本サッカー協会の観戦ツアーに限りサポーターが北朝鮮入りすることを「公式に」認めている。
藤村修官房長官は「渡航自粛要請にこだわれば、スポーツへの政治介入と受け取られ、日本のワールドカップやオリンピック誘致活動にも影響する恐れがある」からだと説明している。
9月に埼玉スタジアムで行われたホームの試合の時にも、北朝鮮選手団等の入国ビザの問題が取り沙汰されたばかりだし、昨年、中井洽国家公安委員長(当時)が女子サッカー北朝鮮代表チームの入国に難色を示しながらも直前になって許可したこともあるから、今回も慎重に検討を重ねたうえでの結論なのだろう。
北朝鮮代表チームは、ワールドカップ本大会でも、こうした問題を既に経験している。
敵国の英国人に人気となった北朝鮮チーム
昨年、北朝鮮は南アフリカ大会に出場を果たしたのだが、1966年のイングランド大会以来約半世紀ぶりのことだった。
それが、1960年代という冷戦のさなか、「敵国」での大会出場ということで、開催国英国政府を大いに慌てさせた大会だったことは『奇蹟のイレブン』(2002)を見るとよく分かる。
この映画、優勝候補でもあったイタリアを破るなど大番狂わせもあって、結果的に英国で人気者となった代表チームメンバーのその後を追うという、欧米メディアには不可能とも思えることをやってのけたドキュメンタリーだ。
異例の北朝鮮現地取材を許可され、隠し撮りではないきれいなその地の映像が(もちろんあらかじめ政府が決めたところだけなのだろうが)見られる稀有なる作品である。