24日のNY市場はリスク選好の雰囲気が強まり、ユーロや資源国通貨の買いが優勢となった。26日のEU首脳会談にらみの雰囲気の中、有効な打開策が打ち出されるとの期待が高まっている。米大手証券がユーロドルのここ数日の目標を1.4060とし、買い推奨していたことも、ユーロをサポートしている。

ユーロはロンドン時間に伸び悩む動きとなっていたが、NY時間に入って買い戻され、ユーロドルは1.39台を固める動きとなった。ユーロ円も106円台に上昇。

一方、ドル円はドル売り優勢から、76円割れを試す動きも見られたが、介入警戒感もあり、76円台はかろうじて維持している。一部にはFRBによるMBS購入など追加緩和期待も出ているようで、ダドリーNY連銀総裁も本日の講演でその可能性も選択肢としてあると述べていた。ダドリー総裁は元々ハト派色がかなり強い総裁であるということは要留意。

◆EU、レバレッジに関し、2案を提起の公算も
各報道によると、EUは26日の首脳会談に向け、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)のレバレッジ活用において、保証付与と特別目的投資機関(SPIV)の2案併用の公算が大きくなっていると伝えている。どちらの案もEFSFの現行の枠組みの変更は必要ない。

【保証付与案】
ソブリン債のデフォルト時の損失に対し一定の保証を付与。新発債への信頼感向上が期待される。支援を受ける国はEFSFから融資によりEFSF債を購入。このEFSF債が一定の担保となる。EFSF債、損失保証書ともに市場での取引が可能。

既にEU、IMFの支援を受けている国は新発債を発行していないため対象外。

【SPIV案】
SPIVを設立し、SPIVは債券を発行し内外の投資家を呼び込む。調達した資金で、発行、流通の両ソブリン債市場に投資。EFSFがSPIVに対して投資するとともに、デフォルトの際には損失の一部分を保証。

また、レバレッジ活用について投資家および格付け会社と協議した上で決定されるともしている。

いずれにしても、EFSFからの拠出、又は資金調達の規模、何パーセント損失を保証するのか、それによってレバレッジの倍率と今回のスキームの規模が明らかとなるが、それについては、まだ何も観測が出ていない状況。

なお、独財務省はレバレッジ活用に関して、複雑との見解を示し、要議論とコメントしていた。

◆上昇なら資源国通貨が魅力的か
ユーロと伴に資源国通貨も買い戻されており、豪ドルも堅調な動きとなった。NY時間に入っても一本調子の上昇を続け、対ドルで1.05付近、対円では76.85付近まで一時上昇。欧州危機と同時に中国経済への懸念も出始めているが、東京時間に発表になった中国製造業PMIが予想外に強かったことで懸念も一服といったところかもしれない。

26日のEU首脳会談の結果次第だが、もし、ユーロや資源国通貨が上昇の展開ならば、資源国通貨の選択も一考。今回の支援の代償として、イタリアなどは更に緊縮財政政策を迫られる可能性が高い。また、欧州の金融機関に関しても資本注入の代わりに、より厳しいオペレーションを求められる可能性もあり、それによる景気への影響も懸念される。それと比較すれば資源国通貨はより魅力的とも言えよう。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)