韓国の受験競争は世界的に有名だが、台湾も韓国に負けずとも劣らない超学歴偏重社会だ。小学生の頃から当然のように塾通いをし、大人になればカードの申込書類一つ記入するにも学歴を問われる。プロフィールに学歴を入れるのは当たり前だし、ちょっとしたアンケート調査でも、学歴を記入する欄があるほどだ。親が子に付き添って、受験会場に向かう姿は、台湾の真夏の風物詩と言ってもいい。受験は個人にとっても社会にとっても一大事である。
こうした熱狂的な学歴神話は大学の乱立を招き、九州ほどの面積しかない台湾に、今や100以上の大学がひしめき合っている。ところが、気がついてみれば急速な少子高齢化で、一部の大学は存亡の危機に直面しており、台湾の大学教育全体の質の低下も指摘されている。そこで、教育当局と大学は中国人学生を受け入れることで活路を見出そうとしている。
ただ、長年、中国人に門戸を閉ざしてきた台湾の大学にとって、中国人の受け入れには抵抗感も強い。加えて、台湾側の思惑通りに中国人が台湾の大学を選ぶかどうかも未知数だ。いずれにしても、中国人受け入れは台湾の教育界にとって歴史的な転換点になるのは間違いない。
狭き門も、いつの間にか、全入時代へ
教育部(教育省)の統計によると、台湾の大学数は2009年末時点で公私立計105校。1986年にはたった16校だったものが、1999年末には44校となり、それから10年間で2倍以上に増加したというのだから、驚くべきスピードだ。
大学急増の背景は、専門学校などを大学に続々と昇格させたことが大きい。大学を増やすことによって受験競争の緩和を図ったのに加え、少子化で専門学校に生徒が集まらなくなり、大学に昇格することで学生を集めようとしたのだ。
この間、晩婚化や非婚化による少子化も進行した。6-21歳の学齢人口は、1999年の565万人から、2009年には483万人と約15%も減少した。今後も少子化の流れが続くのは確実で、大学淘汰の圧力は年々強まっていくと予想されている。