米アップルは現地時間10月5日、スティーブ・ジョブズ会長が同日死去したと発表した。56歳だった。
アップルは死因などは明らかにしていないが、ジョブズ氏は家族が見守るなか、静かに息を引き取ったという。
アップルの取締役会は同日声明を出し「スティーブの卓越した才能、情熱、そしてエネルギーは、私たちの生活を向上させ、豊かにした無数の革新の源だった。スティーブのおかげで、世界は計り知れないほど良くなった」と述べた。
「スティーブの精神は永遠にアップルの基礎」
ジョブズ氏は米カリフォルニア州育ち。1976年にアップルを共同設立し、1984年にパソコン「マッキントッシュ(Macintosh)」を発売したが、翌年に経営方針の意見対立から会社を追放された。
1996年に経営の危機に瀕していたアップルに復帰し、翌年暫定CEOに就任するとその独創的な手腕を発揮。一体型パソコン「アイマック(iMac)」や、携帯音楽プレーヤーの「アイポッド(iPod)」を発売し、その後のスマートフォン「アイフォーン(iPhone)」、タブレット端末「アイパッド(iPad)」と矢継ぎ早にヒット商品を生み出した。
また同氏はコンピューターアニメーション映画製作会社、ピクサー・アニメーション・スタジオの共同創設者でもあり、2006年、同社が米ウォルトディズニーに買収された後はウォルトディズニーの取締役にもなった。
その一方で数年前から体調不良を訴え、2004年には膵臓(すいぞう)がんを患って約2カ月休職し、2009年には肝臓移植手術を受け半年休職した。
今年1月に3度目の長期休職を発表し、「アップルのCEOとして私の職務が遂行できず、期待に応えられない日が来たら、真っ先に伝える」としていたが、8月、「残念ながらその日が来た」とし、CEOを辞任、会長職に就いた。ただこの時「今後も会長、取締役、従業員としてアップルに貢献したい」ともしており、引き続きアップルに深く関わっていく決意を示していた。