サプライヤーが抱える先行き不安は、まず第1に国内自動車生産の縮小である。生産の現地化拡大に伴う輸出車減少、少子高齢化による国内マーケットのスケールダウン、若者のクルマ離れ・・・。10年以上前から想定していた悪いシナリオが着々と現実のものとなりつつある。
1980年代以降、安定的に維持してきた「国内生産1000万台」の大台も、ついに、維持することが困難になってきた。それでも、2009年の生産見通しは960万台と、四捨五入の苦しい1000万台を維持できそうだが、サプライヤーを含む自動車業界の誰もが、中長期的に漸減傾向に歯止めを掛けられるとは思っていない。
他メーカーとの部品共通化で更なる規模のメリット
スズキとフォルクスワーゲンが資本業務提携。部品共通化でさらなる規模のメリットを追求する〔AFPBB News〕
自動車業界にとっても100年に1度の変革期だ。ハイブリッド車や電気自動車のような新たな駆動システムが登場するというだけではない。サプライヤー自身がビジネススタイルを抜本的に見直さなければ、生き残れない時代がやって来たのだ。
生産縮小は免れないという前提のもとで、一段と厳しくなる自動車メーカー側からの要望に対応し得るような体質転換を3年以内に図らなければ、部品メーカーが立ちいかなくなるのは確実だ。
では、自動車メーカーが何を求めているのだろうか。
スズキの鈴木修会長兼社長は12月9日に都内で開いた独フォルクスワーゲン(VW)との提携会見で「規模の拡大によるメリットを活かさなければならない。他社と部品を共通化すればサプライヤーにとっても大量生産の効果が生じる」と語った。
各社とも、自社の車種間での部品共通化はできるところまでやり尽くしてしまっている。その量産レベルをもう2段、3段と高めるには他の自動車メーカーと部品を共通化するしかなくなったということだ。
スズキは、2008年まで米ゼネラル・モーターズ(GM)と資本関係にあったが、GMとは主力車種のクラスが異なっていたため、共通化のメリットをほとんど引き出せなかった。一方、VWは「燃費とコストパフォーマンスに優れる小型車の世界展開に力を入れる」との目標が合致。年産230万台のスズキとしてみれば、800万台のVWと手を組むことで、相当な量産効果を手にすることができる。


