JALが公的資金注入を要請

OBから損害賠償を求められた西松遥社長〔AFPBB News〕

残り857文字

 整備の外注を取りやめ、機内サービスも日本人客室乗務員主体に戻し、組合敵視の労務政策を是正すべきだ。西松社長には再建策を策定後、会社への損害を賠償してもらいたい。

 日航社内には年金資金の積み立てが3000億円あり、当面の支給に支障はない。危機に瀕しているのは年金ではなく日航本体なのだ」

 OBの年金引き下げより危機に至った原因を究明するのが先という文書である。両氏が読み終えると会場から拍手と野次が沸いた。

一枚岩でないOBたち

 ただ、日航OBも一枚岩ではない。もともとパイロット、整備士、客室乗務員に地上職と職務によって組合が別々だったうえ、2002年10月に日本エアシステム(JAS)と経営統合したため、いま組合は8つもある。

 年金のしくみも単純ではない。問題になっているのは国民年金と厚生年金のいわゆる1・2階部分に加算される日航の企業年金=3階建ての部分だが、退職者は受け取り方を選択することができる。この選択には退職一時金に加えて(1)10年間決まった額の年金をもらえる形と、(2)一定額を保証しながら市場金利と連動して給付額が決まる形の2種類あり、しかも加算のタイミングが1次、2次、3次と3回あって、個人ごとに異なっている。

日航、9月中間連結決算1312億円の赤字 事業再生ADRを申請

AFPBB News

 約1時間半の説明会を終えて会場を出てきた日航OBの反響は様々だった。

 「現役世代が厳しい負担を強いられているのに心苦しいが、年金は60歳以上の生活の糧だ」(早期退職した元管理職、59歳)

 「歴代の経営陣が悪かったのだと思う。会社の説明に納得した人もいるようだが、企業年金をあてにして自宅を建て直ししたので、支給額が削減されるのは困る」(元整備士、67歳)

 「受け取る額が3~4割は減る。旅行にも行けないし、医療費も減らさないといけないので病気にならないよう気をつけたい」(元機長・男性、75歳)

 「7年前に脳梗塞で倒れた夫は、現在71歳で通院加療中だ。年金生活なのに医療費もかかるし減額になって困る」(元整備工の妻、69歳)

 日航は11月26日にも同様の説明会を開き、12月中にも企業年金の減額についてOBの意見をとりまとめ、2010年1月中の合意を目指したい考えだが、前途は多難だ。