米国の専門家たちが著し、日米の有識層に問うた最新刊のリポート(Michael Finnegan, The National Bureau of Asian Research, Managing Unmet Expectations in the U.S.-Japan Alliance (NBR Special Report #17, November 2009)がある。そこに表れる日米安保同盟の現状とは、まさしく標題の問いに「イエス」と答えかねないものだ。
日本は「すぐ興奮して切れやすい」?
同盟の実態を指して、brittleという言葉がリポートに時々出てくる。同義語はfragileとかbreakableで、ガラスなんかを叙述するのに向いた言葉だ。
反対語を調べると、みんないい形容詞である。flexible、resilient、soft、relaxed ・・・。特に前の2つ(柔軟な、弾力的な)など、同盟の形容詞として本来ふさわしいはずだけれども、日米同盟に関して出番はない。
もうちょっとこの「brittle」にこだわると、「すぐ興奮して切れやすい、だから先行きの態度がどうにも見えない」と、そんなタイプの人間を表す場合にも使うと、辞書にはある。
もろもろからの連想で、リポートが言いたいいくつかのうち、ひとつはきっとこんなことだというのを今回の標題にした。
リポートの主張には、いくつも目から鱗を落とす論点がある。その1つによると、軍事同盟の実質をいかに備えているかという尺度で比べる限り、文句なしに軍配が挙がるのは米韓同盟の方であって、日米同盟ではない。
もう洋上補給などおやめなさい
米国は、自軍のグローバルな作戦にこれまでは日本を巻き込もうとし、なだめたりすかしたり、かつは励ましたりしてきたけれど、もうそんなことはよすといい。むしろ韓国軍とこそ進めてはどうか――。
リポートの示す可能性である。洋上補給なども、それゆえやめるがいいとの説である。
どんな状況下で何をし、発動すべき威力の段階はいつどんなふうに深化発展するのか、米韓両軍の間には、およそ軍事組織が協力を論じる際なくてはならない作戦の段階規定というものが、当然のごとく備わっている。
しかるに米軍と(日本の)自衛隊との間ときたら、時折ゲーム形式であり得べき事態に関し頭の体操をしておくのが関の山。その先に必要な、細かいプランニングが何もない。いや、何もできない――。