ロシアの極東に位置する沿海地方の知事は、今月の頭に2つの大事な計画を発表した。
まず、2011年にウラジオストク周辺に「ギャンブルゾーン」を建設するという計画。
そして、翌年の2012年には、「極東連邦大学」キャンパス建設の第1期の工事を完成させる。
その年に、ウラジオストクでAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の会議が開催され、日米中ロ等の20カ国の首脳がやって来る。それまでに工事を完成させるという計画である。
ギャンブルと教育というのは、相容れないことのようにも思えるが、これも現在のロシアの現実である。
2006年、プーチン首相は、ギャンブルの蔓延を「アルコール中毒患者の増大」になぞらえ、宝くじと賭け屋を除くギャンブルの営業を禁止した。そして、国内でギャンブルができる場所を4つの特別ゾーンに絞ると決定した。
その結果、モスクワからカジノが消え去った。また、オンラインギャンブルと携帯電話を使ったギャンブルも禁止された。2009年7月から、ロシア国内でギャンブルの営業は4つのゾーンでしかできなくなった。これは日本でも報道されたので、ご存じの人は多いだろう。
4つの特別ゾーンは、その場所から見て、内需より外需を狙っている感じが強い。まず、西方にできる「琥珀」ゾーンは、戦前にドイツの一部であったカリーニングラード州に設置される。
南方のアゾフ海周辺には「アゾフシティー」というゾーンができる。アゼルバイジャンと中央アジアや中東からのオイルマネーを狙って、ロストフ州とクラスノダール州の境界に建設する。