民主党オバマ、共和党マケインの両上院議員が対決した2008年大統領選挙では、オバマ氏が大勝を収め、初のアフリカ系米国人として第44代大統領に就任する。今回、両陣営が特に力を注いだメディア戦略では、オバマ陣営が選挙戦終盤で見せたテレビ広告の大攻勢が圧巻だった。

<08年米大統領選挙>マケイン、オバマ両候補 最後の討論会もオバマ氏優勢

オバマ氏に勝利をもたらしたメディア戦略 〔AFPBB News

 投票日を6日後に控えた10月29日午後8時(米東部時間)。オバマ陣営は全米のテレビ放送網を通じ、大々的な「インフォマーシャル作戦」を30分間にわたり展開した。地上波のNBC、CBS、FOXのほか、ケーブルテレビのMSNBC、BET、TV One、さらにスペイン語放送ネットワークのUnivisionが放送したのだ。

 選挙戦終盤でこれほど長時間にわたり、単独候補を前面に押し出した「放送枠買い取り」は滅多に見られない。1992年にインディペンデント候補として出馬した大富豪のロス・ペロー氏でさえ、オバマ氏のようなケーブルテレビまで包括的に取り込む企画はできなかった。前代未聞のテレビ広告戦略は、オバマ氏が接戦州で競り勝った要因の1つと見てよいだろう。

 今回の選挙戦では、両陣営が合計約10億ドル(約1000億円、2007年1月~08年9月)を集めた。このうちオバマ陣営が64パーセントを占め、マケイン陣営は36パーセントにすぎない。豊富な選挙資金を背景に、オバマ陣営は激戦州の勝敗を左右する選挙広告を積極的に展開した。

 選挙広告に使った費用を見ると、マケイン陣営の1億3172万ドル(広告回数26万9143回)に対し、オバマ陣営が2億9270万ドル(同53万5945回)と圧倒した。しかも、同陣営は投票直前の大規模な選挙広告に400万~500万ドルを投じており、大規模な資金投入ができないマケイン陣営を尻目に「駄目押し」を放ったと言えよう(参考サイト)。

 なお、ニュース専門チャンネルとして広く知られるCNNに対しても、オバマ陣営は「終盤戦キャンペーン企画で30分番組の放送時間枠を買いたい」と働きかけたが、CNNサイドが断わった。また、NBC、CBSとともに3大ネットワークの一角を占めるABCとオバマ陣営の間でも交渉が行われたが、不調に終わっている(参考サイト)。