「日銀は時々寝言みたいなことを言う」。歯に衣着せぬ発言で、あちこちに波紋を起こしている亀井静香金融担当相からの厳しい牽制球に、苦笑いを浮かべながらも、首肯した日銀幹部は少なくない。

亀井郵政担当相「日本郵政の経営陣は10月いっぱいで一新」

「日銀は、時々、寝言みたいなことを言う!」〔AFPBB News

 亀井担当相のやり玉に挙げられたのは、「出口政策」を意識した白川方明総裁の発言だ。

 日銀は2008年秋から実施している金融危機対応策からの「出口」へ向かう第一歩として、CP・社債の買い入れ、企業金融支援特別オペなど異例措置の解除を水面下で模索していた。しかし、これまで、白川方明総裁ら幹部は長短金利が過剰反応することを恐れ、「出口」に関する具体的な言及は避けてきた。

 7月の金融政策決定会合では、一部の審議委員が唱えていた解除論を事前調整で抑え、異例の措置の年末までの延長を全員一致で決定。その後、8月、9月も「出口」を匂わすことを避けてきた。

G7で、出口論にスイッチ・オン

 ところが、10月3日、先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)後の記者会見で、白川総裁は唐突に「CP・社債の発行環境は大きく改善している。CP買い入れも大幅な札割れが続き、政策に支えられている面は後退している」と発言。記者の質問に答えたわけではなく、問わず語りに切りだしたのだ。白川総裁の「スイッチ」が入った瞬間だった。

 そして、14日の金融政策決定会合後の記者会見でさらに踏み込んだ。「CP・社債買い入れの部分だけ発表すると、考えが正確に伝わらない。時限措置を包括的に点検し、誤解のない形で発表したい」とし、特別オペも含めて異例措置を一括して廃止する考えを示唆した。その上で、「景気をしっかり支えていくために現在の超低金利を続け、潤沢な流動性を供給する姿勢に変わりはない」と述べたのだ。