新方式となった司法試験合格者の減少が話題を呼んでいる。2009年の合格者は前年を22人下回る2043名となり、制度スタート時の目標2500~2900人を大きく割り込んだ。制度設計時には合格率7~8割を想定していたのに、今年は3割を切って27.6%まで低下した。
方針が揺れ動いている国を責める受験者の声や、一部のロースクールの質を問う意見が聞こえてくるが、事の本質は別のところにある。すなわち、日本企業のOJT(On the Job Training)の強さに対し、職業実務教育における大学の力不足なのだ。それが実務を踏まえない資格制度を生み出してしまい、大学院が「資格予備校」と化してしまった。
実務知識なき日本の有資格者
日本の主要企業は法務部署に法学部卒業者を置き、実務に即した法律知識を見につけさせながら、日々の法的問題に取り組む。一方、実際の訴訟における情報を得るために、顧問弁護士と契約する。巨額の費用が必要となるが、それは一種の保険料であり、「用心棒」を雇うような感覚で仕方なく払っている。
同様の事態は会計業務でも起きており、その実情はさらに厳しい。企業の決算部署には簿記はもちろん、会計実務に精通した人材が揃っている。企業の決算書を作るのだから当然だ。しかし第三者による「お墨付き」が必要なので、会計事務所と契約している。実務担当者からすれば、「法外」と思える支払いが生じる。