はじめに

 阪神・淡路大震災における自衛隊の災害派遣を、中部方面総監部の防衛部長として勤務した小生にとって、今次大震災災害派遣を阪神・淡路大震災災害派遣と比較するのが常であった。

 特に、人事正面においては、戦力回復が組織的・多層的になされたことおよび即応予備自衛官と予備自衛官を実招集したことに、兵站面においては駐屯地を核とした兵站支援体制を早期から広範囲に展開して組織的な支援態勢を構築したことと、自衛隊が当初の間物流管理の要を担ったことに阪神・淡路大震災災害派遣からの飛躍的発展を感じた次第である。

 運用面では阪神・淡路大震災の教訓から自衛隊の迅速な出動を可能とする態勢整備がなされそれが功を奏したことに感動した。

 本稿においては自衛隊が行った「戦力回復」について管見し、私見を述べたい。