21日のNY市場はユーロが大幅高となり、他のポンドや豪ドルも強い動きとなっている。ギリシャ第2次支援問題に関するこの日のユーロ圏首脳会談で、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の柔軟性拡充など解決策合意への期待や、この日発表になった米景況感指標が強かったことから市場全体のリスク選好が優勢となった。
ロンドン時間に1.4150近辺まで下落していたユーロドルは、ショート勢の巻き返しを誘発して1.44台まで一気に上昇している。
一方、相対的なドル売りの動きから、ドル円はサポート水準として意識された78.50の水準をブレイクし、ストップを巻き込んで一時78.30近辺まで下落。東日本大震災時の急落の水準まで値を落としている。ただ、ユーロ円、豪ドル円は堅調な動き。
◆ドイツの妥協とECBの妥協
NY時間の終盤になってユーロ圏の声明が発表なった。ギリシャ第2次支援策は1090億ドル規模で、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)は国債流通市場への介入を可能し、更にギリシャに3.5~4%の低金利で融資するとしている。融資期間は7.5年から15年を基本とし、最高30年まで延長可能。流通市場への介入はECBを通じて実施するとしている。
更に最大の焦点の民間関与については債務交換や買い戻しなど4種類の選択肢が与えられる。既発の30年債への債務交換を軸に、90%の投資家に参加を促すことを目的としている。民間部門はコストなどを加味した実質で370億規模の支援になるとしている。
格付け会社は選択的デフォルトとの認識を示して来ることが予想されるが、その場合でもECBはサポート方針。
EFSF拡充についてはドイツが、選択的デフォルトについてはECBが、それぞれ反対姿勢を示していたが、当初のフランス案を軸に両者の妥協が図られた格好。結局は、ドイツを中心としたユーロ圏各国の信用をつけて、借金の先送りをしただけで根本的解決には至っていない。ただ、目前のイタリアやスペインへの波及をどうしても阻止したいことから、その場凌ぎではあるが、妥協せざるを得なかったものとも思われる。
ギリシャは債務返済のために大幅な歳出削減を余儀なくされる。もし、この先景気が悪化したとしても、刺激策はもう打てない状況。その分、景気への耐性が弱いことになる。イタリアやスペインについても同様だろう。よって、ユーロは景気減速やインフレなど、今以上に景気に敏感な通貨になるかもしれない。
(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)