「本流トヨタ方式」の土台にある哲学について、「(その1)人間性尊重」「(その2)諸行無常」「(その3)共存共栄」「(その4)現地現物」という4項目に分けて説明しています。
ここ数回は「(その4)現地現物」に関して話をしてきました。現場に行った際は、何を見て何を読み取るかが問題です。前回は韓国の釜山港付近で撮った写真を基に、日頃から現場に関心を持ち、洞察力を鍛えておくことの必要性をお話ししました。
日本ではそろそろ台風の季節です。毎年大雨による河川の氾濫が話題になります。マスコミはそれらをもっぱら「地球温暖化」「異常気象」の影響とだけ報じ、自分たちの日常の努力でいかに災害を減らすかという観点の報道が極めて少ないのを残念に思っています。
今回も、写真を基に、現場で何が読み取れるかを考えてみましょう。筆者がドイツを訪れライン川を遊覧した時に撮った写真から、ドイツと日本の違いを垣間見ようと思います。
この写真から何を読み取りますか
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右の【写真1】は2001年9月23日にライン川の川岸の様子を撮ったものです。
写真を見て、日本との違いなど、気がついた点をメモしてから次をお読み下さい。
筆者が気づいた日本との違いは、以下のような点です。
(1)家並みに統一感があり美しい。
ドイツの正式名は「ドイツ連邦共和国」といいます。843年に誕生した東フランク王国がドイツの原型とされます。実態は数百にも及ぶ小国の集まりだったといいます。
現在は旧東ドイツも入れて16州からなる「連邦」です。ビジネスで訪れると、どの会社の人も「うちのチーズを食べたか」「うちのワインは」「うちのソーセージは」と自慢話を始めるので、閉口したことがありました。
日本では手前「味噌」だけですが、ドイツではチーズ、ワイン、ソーセージと各地の自慢が3つあるのです。それだけドイツ人は自分の土地の文化に強い愛着を持ち、大切に保存しているのだと痛感したものでした。
家並みに関しても強い思いを持っています。ドイツは戦争で壊された建物をコンクリートのビルで復興させたのですが、それをまた壊して、本来のドイツ風の家並みに建て直している場面をよく見ました。
筆者の知人がゴルフ等の付き合いが忙しく、庭の手入れを怠っていたら近所から注意され、奥さんに庭の手入れを頼んで出かけたら、近所から強烈なブーイングを受けたというのが語りぐさになっています。