日本時間10月27日昼過ぎ、円の「過度の変動」に懸念を示す、次のような内容のG7共同声明が発表された。「我々は、強固かつ安定した国際金融システムが我々の共通の利益であることを再確認する。我々は、最近の為替相場における円の過度の変動並びにそれが経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得ることを懸念している。我々は、引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する」
2000年1月の東京G7以来となる、円を特記した今回の声明は、日本の働き掛けで実現したものである。
しかし、外為市場の反応は、ほとんどなかった。
共同声明で懸念が示された対象が、G7共同声明に以前からよく出てくる「過度の変動(excessive volatility)」であり、特定の水準を意識したものではないことが、一つの理由。
また、協調介入を含む為替介入というのは、市場の意表を突くタイミングで実施した後で(あるいは同時に)アナウンスメントを行うというのが通常のスタイルだと考えられるが、先にペーパーが出てしまうと、現実に介入を実施した時のサプライズ効果が減ってしまう。このため、今回の「ペーパー先行」は協調介入ができないことの表れではないか、という読みが成り立つ。
もっと重要なのは、現在の為替相場は「円高」局面であると同時に「ドル高」局面であり、円高で困っているのは日本だけだという点である。円売りドル買い、円売りユーロ買いといった協調介入実現の可能性に、市場はもともと懐疑的。協調介入が実現しそうにないので「ペーパーで代用」した、という見方がされやすかった。
実際に、円売り協調介入は困難という市場の見方を裏付ける要人発言が、G7共同声明発表から1日と経っていない間に出てきた。ラガルド仏財務相はブルームバーグのインタビューで、「われわれは日本の当局が介入する可能性があると想定し、これを支援したいと考えた。介入があるとすれば日本単独の介入となるとの認識だ」と発言。円高ドル安の急激な進行をうけてG7が協調して円売り介入を行うか、との質問に対しては、「ノー」と、あっさり答えた。
ニューヨークダウは27日も続落した。前週末比の下落幅は▲203.18ドル。▲200ドル超は10月に入ってから、これで8日目となる。むろん昨年8月のサブプライム危機以降で最も多い。株安円高の流れは、なお続くだろう。大証日経平均先物12月限は27日の夜間取引で、6830円まで下げる場面があった。