日米両国は6月21日にワシントンで「日米安全保障協議会」という会合を開いた。いわゆる「2+2」の会合である。両国の外務と防衛の閣僚が日米安保関係について協議する集いだった。

 日本側の民主党政権の誕生以来、初めての2+2の開催だった。その結果、日米間の共通戦略目標が発表された。両国が北朝鮮や中国の攻撃的な軍事動向に備え、様々な形で防衛や抑止を強める措置の数々をうたっていた。

 鳩山政権が日米同盟を骨抜きにするような数々の中国傾斜の言動をとり、一時は日米同盟の危機という認識まで生んでいたから、菅政権になってのこの同盟の強化の誓いは日米両国双方に安堵感をもたらしたと言えよう。

日米同盟につきまとう構造的な片務性

 だが、この会合での合意も日米両国の共通戦略目標も、画龍点睛を欠くと言わざるを得ない。日米両国の政府がいくら共同防衛や共通戦略の推進を誓い合っても、日本側には★それらを★大きく阻む制約があるからである。

 日本側の集団的自衛権の行使禁止というのが、その壁である。★米国から見て日本の集団的自衛権とは、簡単に言えば★「日本が同盟相手の米国とともに第三国と戦闘をする権利」とされている。国連の平和維持活動でも、他の諸国とともに共通の敵との戦闘に加わる権利を指す。全世界の日本以外のどの国も、主権国家の固有権利として持っている権利である。

 しかし日本の場合は憲法9条の「戦力保持の禁止」や「交戦権行使の禁止」の規定のために、集団的自衛権は「保有はしているが行使してはならない」とされているのだ。 

 日本の場合、日本の領土や領海そのものが外部の第三国から軍事攻撃を受けた場合にしか、軍事手段による自衛権を行使してはならないことになっている。

 つまり、日本の領海のほんの1キロ外の公海で、日本の防衛のために活動していた米軍が第三国から攻撃され、日本の自衛隊がその目前にいても、米軍を支援する軍事行動をとってはならないのだ。米国は日本や自衛隊を守るが、日本は米国や米軍を守らないのである。