前回、日本共産党中央委員会が破綻を前にしながら、何の対策も取っていないことを書いた。今回は、地方組織の実態について書いていこう。
日本共産党は中央委員会の下に都道府県委員会があり、その下にいくつかの「地区委員会」があり、その下に支部がある。共産党は個人単位の後援会を持たないため、政治団体としては地区委員会が最小単位となる。
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ここに、日本でも有数の規模と強さを持つ日本共産党地区委員会の出したビラがある。この地区委員会は、共産党が比較的強い都市部にあり、しかも管轄地域に大規模団地を持つ。大規模団地は、日本共産党にとって大票田だった地域だ。
集団就職などで地方から出てきた者たちが入居していた団地は、地域のしがらみがなかったため、自分たちの街を自分たちでつくっていく機運が高かった。そうした入居者たちに共産党は受け入れられやすかった(宗教では創価学会が強かったため、よく対立した)。現在ではそうした団地の空気は一変しているが、それでも支持者は他地域よりも多い。
そんな大票田を持つ地区委員会が、1年ほど前、全党員に対し財政健全化を訴えるビラを配布した。
普通はここまで詳細な財務データを出した資料が一般党員に配られることはない。しかし、党勢減退とは別の「事情」(その部分は黒塗りしてある)で、さらに財務が悪化するため、党員に危機感の共有をしてもらおうとしたのであろう。
党費、赤旗以外に、募金の山で生命維持
このビラと、同地区委員会の政治資金収支報告書を見ながら分析していこう(この政治資金収支報告書は公開されており、黒塗りしても地域を特定できてしまうため掲載しない)。共産党の財務は以下のような状況にあることが読み取れる。
(1)党費収入が落ちている。しかも党費の未払いが多い。「党費納入額は実収入の1%」を守るように書いてあるのは、規定の党費を払っていない者がいることを意味する。ちなみに共産党全体では党費納入率は60%ほどである。3人に1人は党費を払ってない。
党費を払っていない党員には、生活苦などで払えない党員がいないこともない。しかし多くは党籍がありながら活動に一切参加していない「実態のない党員」、すなわち幽霊党員だ。