(英フィナンシャル・タイムズ紙 2024年12月4日付)

世界中の羨望の的であるこの国が、なぜトランプ氏を選んでしまったのだろうか(Pierre BlachéによるPixabayからの画像)

 最高な国であり、最悪な国である。

 少なくとも高所得国のなかではそうだ。米国という国は、その繁栄と野蛮さの両方で群を抜いている。

 筆者は初めてあの国を訪れた1966年から、そしてそこで暮らした1970年代からずっとそう思っている。

 あれだけの繁栄を継続できていることはまさに驚異的だ。

 西側には、国民1人当たりの実質所得で米国を上回る国があるにはある。スイスはその一つだ。

 だが、比較的大きな高所得国はいずれも1人当たり実質国内総生産(GDP)で米国を下回っている。

 しかも、今世紀に入ってさらに差を広げられている。

 2023年には、ドイツの1人当たり実質GDPは米国のそれの84%相当で、2000年の92%より少なくなった。

 英国も2000年の82%から73%に下がっている。

 米国が大きくて中身も多様な国であること、そしてほかの貧しい国々が追いつくことを予想した人がいたことを考慮するなら、この相対的なパフォーマンスの高さはすごいとしか言いようがない。