失われた太陽光発電世界シェアを取り戻せるか? NEDOが支援する「軽くて曲がる」次世代太陽電池の大きな可能性

再生可能エネルギーのゲームチェンジャー「ペロブスカイト太陽電池」、その研究開発とビジネスの最前線(第1回)
2024.7.22(月) 簗 尚志 follow フォロー help フォロー中
研究開発環境エネルギー・資源
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〈左〉NEDOの山崎光浩氏(左)と松原浩司氏(右)。(撮影:矢島幸紀)/〈右〉上がペロブスカイトの溶剤。下が溶剤をスポイトで塗り、100℃程度で熱して定着させる工程。〔出典〕国立研究開発法人 産業技術総合研究所のYouTubeチャンネルより。【提供】国立研究開発法人 産業技術総合研究
山崎 光浩/NEDO 新エネルギー部 太陽光発電グループ 主任研究員

プロジェクトマネージャー(取材時) 2001年国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構入構。プロジェクト評価、経済産業省出向、国際部、欧州事務所を経て、2019年~2024年3月末まで新エネルギー部で太陽光発電の研究開発分野の事業を担当。2024年7月から同機構、事業統括部課長。
国内の電源構成。2019年から2030年に向けては再生可能エネルギーを38%まで増やす予定。〔出典〕資源エネルギー庁「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」より、著者作図
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2030年の再生可能エネルギーは38%を計画。その41%を太陽光でまかなう予定。〔出典〕資源エネルギー庁「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」より、著者作図
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左がペロブスカイトの結晶構造。右がペロブスカイト太陽電池の一般的な断面図。ペロブスカイト結晶による発電効果は2009年ごろ桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授が発見、2012年に発電効率が10%を超えたことから世界中で研究開発が始められた。〔出典〕NEDOホームページ
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第18回再生可能エネルギー世界展示会のNEDOブースに展示されたフィルム型ペロブスカイト太陽電池(東芝製)。2020年10月、フィルム型大サイズ(24.15センチメートル×29.10センチメートルの703平方センチメートル)としては世界レベルの発電効率16.6%を達成した
第18回再生可能エネルギー世界展示会のNEDOブースに展示された大型のペロブスカイト太陽電池(積水化学工業製)。シートのように壁面に置くだけで発電できる
2000年以降のシリコンとペロブスカイト太陽電池セルの発電効率のグラフ(実験室レベル)。2024年のデータではシリコン系の27.1%が最高。ペロブスカイトは2012年ごろから急激に効率を上げてきた。ただし、太陽電池の1単位であるセルの大きさはシリコン系が約10平方センチメートル、ペロブスカイトが約1平方センチメートルとまだ開きがある。この部分でのペロブスカイトの大型化といった追い上げも期待されている。〔出典〕米国立再生可能エネルギー研究所発表をもとに著者作成
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松原 浩司/NEDO 再生可能エネルギー部 上席主幹 プロジェクトマネージャー(2024年7月1日時点)

2004年より国立研究開発法人 産業技術総合研究所 太陽光発電研究センターにて、主に透明導電膜およびCIGS太陽電池の研究に従事。この間、2006~2008年NEDO新エネルギー技術開発部主任研究員。2015~2020年太陽光発電研究センター長。2023年12月より現職。CIGSはCu、In、Ga、Se(銅、インジウム、ガリウム、セレン)の4つの元素のこと。
太陽光発電は2012年からのFIT制度(再生可能エネルギーによる電気を電力会社が一定価格で一定期間買い取る制度)の効果もあり、シリコン系太陽電池はメガソーラーという形でかなり国内に敷設された。しかし、その結果、日本は国土の平地面積に対する太陽電池設備の導入量が主要国で1位になった。〔出典〕経済産業省
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グリーンイノベーション基金では、社会実装に向けた各所での実証実験が行われている。〔出典〕NEDO
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