(平井 和也:翻訳者、海外ニュースライター)
米中の対立が激化するに伴い、中国の軍事動向が世界的に警戒すべき対象として注視されている。そうした状況のなか、米国防総省が、中国は世界最大の海軍艦隊を有しており、これまでにないペースで新しい艦艇の建造を進めているという報告書を出した。
ドイツ国際放送局ドイチェ・ヴェレの報道(10月21日)から、米国防総省の報告省の概要を紹介しよう。
中国海軍の艦艇の数は世界最大
同記事はまず南シナ海の緊張が高まっている状況を報じる。
米国の誘導ミサイル駆逐艦「ジョン・S・マケイン」が南シナ海のパラセル諸島付近を航行していた時、中国人民解放軍の海軍艦艇と空軍機に追跡された。10月9日にPLA南部戦区司令部報道官は、駆逐艦「マケイン」の航行は「中国の主権と安全保障上の利益を著しく侵害し、南シナ海の平和と安定を重大な危険にさらす軍事的な挑発」だという声明を発した。このような米中の激しい衝突は、米国の戦艦が「航行の自由作戦」を実施している係争海域で、過去数年間にわたって頻発しているという。
同記事は続いて、中国の莫大な軍事投資について詳細にまとめた米国防総省の最新の報告書に言及している。その報告書ではこう記されているという。
「中国人民解放軍海軍は現在、数の上で世界最大を誇っている。人民解放軍海軍は約350隻の艦艇を有しており、その大部分が中国沿岸の北部、東部および南部戦域に配置されたミサイル巡視船、コルベット艦、フリゲート艦、駆逐艦だ」