内閣府は22日、「2008年度 企業行動に関するアンケート調査」の結果を公表した(調査実施時期は2009年2月)。

 この調査については例年、外国為替市場や株式市場では、日本の輸出企業の採算レート(ドル/円)の水準が主要関心事となる。また、債券市場では、日本企業が中期的に期待する経済成長率が上下どちらの方向にどの程度動いているのかが最大の注目点になる。それは、長期金利の主要な形成要素が将来期待される名目GDP成長率であると見なされることのほかに、当面の景気動向を見ていく上で、企業の期待成長率の変動が設備投資の出具合などに影響してくるからである。日銀は経済のメインシナリオに対するリスク要因として、昨年10月の展望レポートで「企業の成長期待の動向」を挙げており、直近でも、「企業の中長期的な成長期待が低下し、設備や雇用の調整圧力が高まることを通じて、国内民間需要が一層下振れるリスクもある」(4月7日金融政策決定会合後の発表文)という問題意識を持っている。

 今回明らかになった輸出企業の採算レート(ドル/円)は、1ドル=97.33円となった(統計結果表にあるコンマ以下2ケタの数字。調査報告の本文では97.3円と表記されている)。2007年度調査の104.74円から、円高方向に大きく動いた。採算レートが100円割れとなったのは、調査開始以来初めてのことである。調査直前の1月時点の市場実勢は90.4円だったので、輸出企業はその頃、採算割れ状況に陥っていたことになる。足元の市場実勢は98円台で、採算円レートよりはやや円安の水準にある。いずれにせよ、日本の輸出企業が為替差益を期待できるような市場環境ではない。