1台たりとも認めない

 証券市場に続いて反応したのが現代自動車労働組合だ。

 韓国最大で最強の現代自動車労組としては、ロボットの量産ライン導入と言われたら黙っていられるはずがない。

 1月後半になって、アトラスに強く反応した。1月22日、現代自動車労組はこんな見解を出した。

「CESでの人型量産ロボットアトラスの公開は衝撃を与えた。現代自動車において人件費削減のための人型ロボット導入が具体化しつつある」

「ここではっきりと警告する。労使の合意なしには1台たりとも絶対に導入は容認できない」

 現代自動車労組は、人型ロボットの導入は人間の雇用を奪う恐れがあるとみて強い調子で「警告」したのだ。

「いよいよ韓国では本格的な『労ロ(労働者とロボット)対立』が始まった」

 韓国メディアは一連の動きを大きく報じた。

大統領まで連日発言

 世の中の関心が高まる中でさらに一石を投じる発言をしたのが、李在明(イ・ジェミョン=1964年生)大統領だ。

 現代自動車労組の反発声明が出るや、1月29日の青瓦台(大統領室)首席補佐官会議で、こう話した。

「ロボットを生産現場に持ってくることができないように労組が宣言したようだ。闘争戦略にすぎないのかどうかは分からない」

「大きな流れには逆らえない。いずれにしても避けられないということなら、早く準備して適応しなければならないのではないか」

 大統領は翌日にも公開の席で同じような話をした。

 李在明大統領はもともと「親労組」との評価を受けてきた。一方で、AIなど未来産業の育成に大きな関心を持っている。その大統領の発言だけに、影響は小さくなかったはずだ。

 大統領の連日の発言で、ロボットと雇用について注目がますます集まってしまった。韓国の有名企業の労組幹部はこう話す。

「最初は現代自動車だけの話と思っていたが、連日メディアで大きく報じられ、組合内部でこれは他人事ではないという話になった。さっそく経営側にこの問題について意見交換をすることを求めた」