妻は、直ちに医学倫理の専門家に相談の上、保健医療責任当局に対し、病院が「安楽死を幇助した」として訴えを起こした。
記事を書いた記者が、「B氏のケースは安楽死幇助に当たるのか」と、ある医師に尋ねた。その医師は「安楽死幇助ではない」と断言している。「食べ物を出さないことは正しい処置です。患者は回復不可能な状態でした」
Vad var det som dödade Herr B?(何がグスタフ・Bを殺したか?)
延命措置は穏やかな最期を妨げるのか
このニュースにショックを受けた筆者だが、一方で、記事中でコメントしている医師の言い分に納得する自分もいた。
スウェーデンに住んでいて気がついたことがある。当地の病院や医療ケア施設では、無数のチューブや管をつながれたまま、寝たきりになっている病人をあまり見かけないことだ。
私の友人には医師も多い。娘の大親友の母はその一人で、彼女が主催するヨガサークルやキャンプに参加させてもらったことで、女性医師の友人が非常に増えた。
彼女らと話をしてわかったことがある。日本の医療が行うような「延命措置」は、欧州では積極的に行われていないということだ。
さらに驚いたことに、彼女らの考えでは、延命措置をすると、人は穏やかに最期を迎えることはできないのだという。
日本の医療では、可能な限り延命措置をすることが普通だ。回復する見込みの乏しい終末期患者に対して延命を試み、点滴や経管栄養の措置を施す。
しかし、欧州ではそれをよしとしていないそうだ。見込みのない延命ではなく、痛みを取り除くための緩和治療をしながら、穏やかに苦しまず自然に死んでいく。そうして死を受け入れていくのが欧州のやり方だという。
延命期間が長いと、昏睡状態が長くなる。しかし、食べるだけ飲めるだけで自然な死を迎える方が、意識を保ったまま、周囲に別れを告げて逝くことができるという。