AIが人間に代わって複数地域の政策のすり合わせを行うようになる?(筆者がChatGPTで生成)
(小林 啓倫:経営コンサルタント)
1950年、アイザック・アシモフは短編小説『避けられた抗争(The Evitable Conflict、短編集『われはロボット』に収録されている作品のひとつ)』でこんな未来を描いた。
舞台は2052年。地球は4つのブロック(アジア中心の東部リージョンや、北米を中心とした北部リージョンなど)から成る世界となっていたが、社会があまりにも複雑になり、経済や物流を人間の手で最適に回し続けることが難しくなる。そこで登場しているのが、各ブロックに設置された、産業・資源配分・輸送を調整する巨大な計算機群だ。
表向きは「人間の意思決定を助ける道具」に過ぎないが、計算機たちは「人類全体の危害を避ける」という名目でブロック間で連携し、しだいに個々人の選択や社会の動きを間接的に誘導し始める。誰もそれを「独裁」であるとは認識しないが、世界レベルの重要な意思決定が、知らず知らずのうちに機械の設計した前提と勧告に沿って進むようになっている――そんな世界だ。
この短編の面白さは、描かれているディストピアが「悪意あるAIの反乱」ではない点にある。善意の最適化が透明性を欠いたまま制度化され、意思決定の重心が人間から機械へ静かに滑っていくという不気味さだ。
1950年当時は、この短編は「あり得たとしても遠い未来の話」だっただろう。しかしAI技術が急速に進化しつつある現在、それは現実の話になろうとしている。あくまで研究としてだが、最新のLLM(大規模言語モデル、生成AIの頭脳となる技術)を用いた世界レベルでの政策調整という試みが明らかになったのだ。