「経済後回し解散」に沸き起こる批判、党内根回し不足が生む亀裂も
一方、もうひとつの大博打である高市首相の冒頭解散。選挙に勝利し、政権基盤を強化するなどと語られているが、どんな理屈をつけようが「内閣支持率の高い今のうちに」が理由なのは誰の目にも明らかだ。
国会が始まれば、政権が火だるまになるような追及材料は山ほどある。高市首相の不用意な台湾有事発言に端を発した日中関係悪化により、中国はついにレアアースの対日輸出を制限してきた。
旧統一教会問題は韓国の捜査資料から、安倍晋三元首相を筆頭に、萩生田光一幹事長代行などとの親密な関係が改めてクローズアップされている。高市首相自らの政治資金問題もある。
国民が待ち望む物価高対策を遅らせる「経済後回し解散」と批判されても、来年度予算の年度内成立を放り出してまでも、今、急いで総選挙を断行する大義はあるのか。
これまで繰り返し強調してきた「経済対策最優先」との整合性も問われている。わずか1年4カ月で3度目の国政選挙のうえ、議員の任期を3分の2も残しての衆院選には多くの人が「なぜ今」と不思議がっている。有権者を納得させられる大義があるのかどうか。
自民党の地方議員からですら「もっと経済対策をやってくれると思っていたのに、期待外れでがっかり」という声がある。さらに深刻なのは、わずかの側近とだけ相談して冒頭解散を決めたことで自民党内を怒らせたことだ。
「選挙の責任者は幹事長。その幹事長に話していないとは、幹事長を信頼していないということ。鈴木俊一幹事長ははらわたが煮えくり返っているだろう」(自民ベテラン議員)
高市首相が衆議院の解散を検討していることについて、鈴木幹事長は17日に地元・岩手での講演で自ら「新聞報道で知った」と明かした。「温厚な鈴木俊一ですから、怒ったりしません」と笑いに変えていたが、あえてそう発言したことに本音が透けて見える。
首相官邸に入る自民党の鈴木俊一幹事長(2026年1月14日、写真:共同通信社)
麻生太郎副総裁も首相の解散判断について16日、「首相の専権事項で、脇役が何か言う話ではない。今のタイミングが解散時期として一番だと思われたのだろう」と語っていたが、選挙前に党内がガタガタするのを避ける意図だろう。