欧州極右を計画的に後押し
残念なことに、米国と欧州極右との協調はかなり計画的だ。
文書には、欧州連合(EU)の機関や制度、大量の移民、「言論の自由」の検閲、そして政治的反対勢力の抑圧による「文明消滅という厳しい見通し」から欧州を守りたいと述べられている。
その趣旨は次のように明示されている。「我々の目標は、欧州が現在の軌道を正すのを支援することであるべきだ」。
米国は軌道をどのように「正す」つもりなのか。これも明白だろう。
今日の右翼の権威主義者、ネオファシスト、そしてウラジーミル・プーチンの崇拝者らが権力の座につけるよう支援することにより「正す」のだ。
この文書のほかの部分の大半は、筆者に言わせれば驚くほど中身がなく、ばかげている。例えば、中国に対する一貫した戦略が読み取れない。
その一方で、特に関税や譲歩を強いるほかの手段を使って米国がどれほど不当で不合理で予測不可能な振る舞いをしようと、世界の国々は米国を信頼し続けるという確固たる信念がうかがえる。
米国は南米に服従を強いることができるとの見方も示唆されている。南米では中国の影響力が強まっているにもかかわらずだ。
また、米国は科学を攻撃したり移民に人種差別的な敵意を示したりしているが、それでもテクノロジーにおける米国の優位性は維持されるとも確信している。
だが、ここで重要なのは次の一文だ。
「欧州を大いに痛めつけ、米国を脅かし、敵国を有利にしている『気候変動』や『(温暖化ガス排出実質ゼロを志向する)ネットゼロ』といったひどいイデオロギーを我々は拒絶する」。
これはつまり、中国に未来を明け渡す手段だ。